SO WHATブログ

我がロイヤルウエディングは来世へ持ち越し当確。そん時はみんな参列してくれよな(👈悟空)!

続・在宅期間中のSO WHAT読書録

在宅期間中、必ずしも悪い事だけではないですね。なぜならば外出する代わりに本を読む時間がたっぷりとある!イコール、大げさに言えばわたしにとって予期せぬギフトのような時間。嬉しい!ええ、おかげさまでリビングで、ベッドで、浴槽の中で…と、気分に任せて乱読しております\(^o^)/

備忘としてそんな数週間のうちに読んだ数冊を記しておこうと思います:

◆”標的” 真山仁

mayamajin.jp

なんてタイムリーな一冊!正直わたしのような市井の人にとって”ふぇ?検事のお仕事って何すかね…?”、”ニュースで時々聞く東京地検特捜部ってそもそも…?”ぐらいの縁遠さ。それが初めてうっすらながらも輪郭を持ってイメージできました。世の中にはまだまだ知らない職種、予想だにできない世界があるのだわ…!

物語に登場する数名からの視点で物語が進み、どこかでその登場人物が交差するプロット(って称して良いのですかね?)のことを、誠に僭越ながら”お!ドラクエ4方式!”と名付けながら読んでおります。こちらは見事にそれが該当した一冊です。

わたしが特に好きな登場人物は検察側のやり手女子。超お嬢様育ちなのにざっくばらんな話し方で容姿端麗、凄腕の仕事人☆!即座にとあるわが友のことを思い浮かべました。その彼女ってばルックスの仕上がりがラティーナで、検事のイメージとは結び付きにくいのですが!

普段この手の、現代が舞台で政治経済が絡む小説を読むと”っとによー、メインキャラの頭ん中には金・利権・女しかねーのか…?ステレオタイプにもほどがある!”と突っ込みたくなることもしばしば。しかし真山作品は一味も二味も違います。何せ”ハゲタカ”の大森南朋が男前すぎる…ってフザケたきっかけでその原作を手に取って以来、なんだかんだ真山先生の小説は文庫版で全部読んでいることに今さら驚いた次第。

◆”ペット・ショップ・ストーリー” 林真理子

books.bunshun.jp

読み始めてすぐ”あ!これ前も読んだことあったな…”と思ったものの、眠りにつく前に最後までイッキ。すらすら読める短編集です。

少々話はそれてしまいますが、こちらの文庫、巻末の解説よ…他にどなたかいらっしゃらなかったの…?林真理子先生ほどの大御所であれば何もこの方に頼まなくともよろしかろうよ。その解説もご自身で書かれたのであれば…と思ったら最後にまんまと編集者のかたが構成していると知り、二度落胆。よく林先生が許可なさったもんだわ、さすがの度量の大きさよ。

小説と漫画、土俵こそ違えども備わった品性と知性、センスのバランスは端々に滲み出るものですね。こちらの解説のおかげで、”東京タラレバ娘”を購入して(プロパーでまとめ買いした己ときたらもう…)全編に漂う妙なテンションと、女児向けマンガでもなかろうに同衾シーンは一切描かない(ぼかす)というリアリティのなさにゃー辟易。その前の作品である育児マンガは結構面白く読めたのに、一体何事…?ただただひたすら脱力…orzの読後感だったことを思い出してしまったのです。

話は本題に戻り、林先生の小説はどれも大好きですが、性善説のお話の方がより好みです。この一冊は後味が悪くヒタヒタ系。心霊なしのホラーものという認識でよろしいかと。

◆”甲賀忍法帖” 山田風太郎

www.kadokawa.co.jp

忍者ものを欲し、伊賀と甲賀で迷って先にこちらをチョイス。シンプルな内容なのになぜかすらすらとは読みづらかった…ちょいちょいカタカナや口語体が混ざる独特の文体に慣れていないからか…?半世紀以上前に書かれたと考えれば納得、もしわたしが当時の人間だったら娯楽にもってこい!のエンターテイメント感でした。伊賀忍法帖も続けて読むか…。

読了後に映画”SHINOBI”の原作だったと知り、ああそういえば!昔オダギリジョー仲間由紀恵の映画、観に行ったわ!と今さら思い出した次第。

…でも、たとえ誰が何と言おうとも、忍者小説は司馬遼太郎先生の”梟の城”がわが至高との思いをより一層強くしました。お願いですからもう実写映画化はなさらないでね(祈): 

lab619.hatenablog.com

◆”降り積もる光の粒” 角田光代

books.bunshun.jp

あまりに旅行に行きたくて、旅に特化したエッセイと知り読み始めた一冊です。けれどもわたしがここしばらくの間猛烈に行きたいと願っている、ハワイあたりののん気なビーチリゾートは一切出てきません。東南アジアからアフリカ、東北など、いわゆるどメジャーな旅先における旅行録でないのが、かねてよりご本を通してわたしが抱いていた角田先生の(勝手な)イメージとぴったり合致。

…思うに、旅行の行先ひとつでもそのひとの人となりが何となくわかるなぁと。それに加えて現地での過ごし方や移動手段、泊まる場所など知り得たら、もうさらに。

旅することで、自分自身が考えているよりもたくさんの事実を言葉なくあぶり出しているものですね。あー旅行へ行きたい…。私の場合、とにかくまずは沖縄の離島かハワイね。ええ、移動時間は少なめで、ただひたすら現地でぐーたら過ごしたい魂胆ですよ…。

◆”噂の女” 奥田英朗

www.shinchosha.co.jp

途中からなんとなーくラストのイメージが予測できた…と思っていたら大間違い、ラスト逃げ切ったのね!ハッピーエンドっちゃーハッピーエンドなのでしょう、リッチな配偶者を次から次へとバッタバッタ手にかけてるけども。ドラマの次を一気に見たくなるように続きが気になって気になって仕方なく、久々に睡眠時間を削ってまで読みました。

しかしドラマ化されていたのは知りませんでした…!主人公である魔性の毒婦、キャスティングがわたしのイメージとは違ったなぁ。だけれど今の若い女優さんで、誰なら適役なのだろう…幼少期すさんだ環境で育った感と、ゼニの為なら何だってしたるわ!的、凄みが出せる悪女を演じる若手ねぇ…。果たして該当者いらっしゃるかしら…。

◆”麦屋町昼下がり” 藤沢周平

books.bunshun.jp

いつからか時代小説を好んで読むようになって、その中でもわたしは特に藤沢周平作品が一番好きなんだとあらためて思いました。今回の一冊に収められた数編ももれなく該当しますが、根底を流れるのが”お天道様は見ているよ!”というごく素朴で誠実な優しさだからかもしれません。何なら通りすがりの町人気分にすらなれる読みやすさも最高。

誰かに謀られて濡れ衣を着せられていたり閑職に追いやられる憂き目に遭っていたり。とにかく不本意な状況に置かれている正直者の登場人物たちに、”そうだよなー昔は死人に口なしだってこの事だわー、斬られて死んだら真実は闇に葬られるよねーお気の毒だなー”とかのん気に同情しつつ短編を読み進めます。

けれども、正直者がバカを見ないのが藤沢作品。上の人間に謀られたのち、数年ヤサグレていた剣士が自分を陥れた相手にリベンジする。過去の濡れ衣が晴れる。家族間の誤解が解けて実家に帰した妻が戻ってくる。もうこの手の大団円には枚挙にいとまがありませんが、”本当良かったねぇ”と心から思える読後感、その醍醐味を味わいたくてページをめくるのです。