天気予報通り、午後から雨が降り出した夜。
普段通り、コントレックスと本を片手にバスルーム照明をつけようとしたら、パチリと音がしたまま何も反応がない。カチカチとスイッチを押しても真っ暗闇のまま。”あ…電球が切れたんだわ…”と天井を見上げるも、当然何も変化なし。
浴槽での読書はあきらめて、本を置く代わりにキャンドルを手にしました。
ちょうど先日、長年親しくさせてもらっている年上のお友達から『アラフォーちゃん(※注:わたし)、これきっと好きだと思うよー』と頂いたキャンドルがあったのです。
自分の趣味のひとつをアロマ、何せ嗅覚ときたら警察犬ばりで(※くれぐれも注:あくまでも自称)なれるものなら調香師になりたかった…などと公言する者としては、キャンドルも同じ分野とみなしております。が、そのキャンドルは単なるアロマキャンドルではありません。パチパチと薪が燃えるような音がするというのです!:
毎日煌々とした蛍光灯の下、バスタブの中で活字を追っているのが習慣となってしまっているので、ただお湯につかりながら一切何もせずにいるのはわたしにとって珍しいことでした。
火がキャンドルに灯るとすぐ、目の前のキャンドルからパチパチと音がしてきます。当然BGMなど一切不要です。大きな暖炉の中で薪が燃えているイメージをしながら炎をぼーっと見つめつつ、甘くてスパイシーな香りが漂って来れば、途端に自分が今一体どこにいるのかすら忘れてしまうようなリラックスの極地へ。
ちょっとした合法トリップ状態の中、コントレックスをガブ飲みしつつ大量発汗と水分補給を繰り返し、のぼせる前にバスタブの外に出て髪や身体を洗う、と。
日頃愛用のシャンプー類はアロマ含めて”ちょ…デューディリジェンスですか…!?”という勢いで選び取った精鋭揃い!と言ってもおかしくないはずなのに、この時ほど”シャンプーの香りちょっと邪魔だなぁ”、”洗顔料の合成香料、だいぶハデね…”と思ったことはなかったのです。それほどキャンドルの光・香り・音が作用していたのだと身をもって実感。
ホテルのスパではキャンドルを灯してトリートメントを受けられる所もありますが、このご時世なかなか行きづらい(そもそも海外へ飛べやしないってお話でもある!)。そんな時でもこのキャンドルと想像力さえあれば、ちょっとしたショートトリップが可能に。想像力、非常に大事!あくまでも自分にしか作用しないわけですし!
バスルームから一歩出てキャンドルを吹き消した瞬間”さっきまで一体どこにいたの…?”と錯覚してしまったほど。さっきまでの煌々とした明るさにめまいがしそうな蛍光灯の下へとふたたび戻りつつ、少しだけ部屋の明るさを下げた夜でした。